第5章 合同任務・第十班 狂気と料理の依頼人
その夜、山頂付近までおよそあと半分…といったところで、二小隊は野営を行うことになった。
当然、山にあるものでお腹を満たそうとなる訳だが、浮き足立つカバネに、シカクは頭を抱え、ムクロのやる気ゲージはいよいよマイナスに突入した。
カルタは「せめて食べられるものを増やそう」と、いのとアスマを連れ、動物の肉や魚を探しに…という建前で逃亡した。
「ドクミさん。我々で食材の調達を行うので、調理をお任せしてもよろしいですか?」
と、シカクは提案し、ドクミは快諾した。
アスマがいないので、上忍はドクミの護衛に残らざるを得ない。そして能力を考えるとシカクがいるのにシカマルが残るのはあまり意味がない。となると、
「まじかよ…」
シカマルが、この森のどんな獣も尻尾を巻いて逃げる狂人が、食事に毒を盛らないように見張らなきゃいけないようだ。
カバネとシカマル。
この奇妙な組み合わせが、森を闊歩する。正確には、まるで自分の庭のようにズカズカと歩くカバネに、シカマルが必死に着いて行った。
「やはり山に来たのなら、山菜をとらなくては。」
そう言い、カバネがどこからか採集キットを出して、何やら草を採集しようとするが…
「ちょっと待て!!」
「…おや。」
カバネの身体が、意思と反して動かなくなる。
「これが影真似の術…たしかに、噂に違わぬ拘束力です。」
「それは食用じゃねえ」
「知っています」
当然です、と言わんばかりの顔に、思わず影真似を解いてしまう。
「シカマルさんのおうちは、薬にも詳しいんでしたね。」
カバネが手にした葉はギョウジャニンニク──ではなく、イヌサフランの葉である。
「イヌサフランは、別名コルチカムともいい、その名の通り成分としてコルヒチンを含みます。
下痢、嘔吐、呼吸困難に始まり、重症例では死亡。一方で、痛風発作に対しては薬として用いられます。」
「間違って食って、木ノ葉病院の世話になる奴が毎年いる。それをどうすんだ?」
「勿論、後学のため。
皆さんの食事には用いないので、安心してください。」
にっこりと笑う悪魔に、シカマルはムクロの気持ちを察したのだった。