第4章 初任務・風ノ国の要人ドロ!!
カルタが食べ終わると同時、我愛羅も綺麗になった定食のトレーに端を置いた。
『お会計、お願いしまーす!!
──誘ったの私だからね、奢るよ。』
「…いい。癪だ。」
『じゃあ奢ってくれるの?』
カルタは「そんな訳ないだろ」待ちだったが、我愛羅は無言で財布を出し、カルタの分の会計を出した。
「…お前ともう関わらないための、必要経費だ。」
『そう。ありがとう。』
”無言で男が財布を出したなら、女は潔く引くべし”と、カルタは幼い頃の教訓通りにした。
──そうでなくとも、おばあさんをこれ以上困らせたくないしね。
奥から出てきた老婆が会計を受けとり、お釣りを渡そうとしたが、我愛羅は何も言わず後ろを振り返り、そのまま店をあとにしようとした。
ガシッ!
我愛羅の服の裾を、カルタが掴んだ。
我愛羅の中で凪いた筈の殺意が、再び荒波を立てる。
「離せ」
我愛羅はカルタを、殺意を込めて睨みつけるが、カルタの瞬きひとつしない貴石のような瞳で見つめ返され、少したじろぐ。
『我愛羅くん、言うことあるでしょ』
「なんの話だ」
──こいつの、定期的に会話できなくなる現象はなんなんだ。
『おばあさんに。』
ここで我愛羅は初めて老婆の目を見た。
我愛羅が読み取れた感情は──失望、疲労…
『それとも、もうここに来ない?』
カルタの手を振りほどいて去ろうとするが、なかなかどうして…細腕なのに、力が強く、びくともしない。
「っ…これが最後の警告だ、離せ。」
これ以上の押し問答は無駄だと判断したのか、カルタは我愛羅の服から手を離した。
「フンっ…二度と俺に近付くな。」
我愛羅は踵を返し、去ろうとして────ガッッ!!
『ご迷惑かけて、すみませんでした。』
我愛羅の頭を鷲掴み、カルタは強引に頭を下げさせたのだ…!!
「…お前、」
『我愛羅くんに選択肢はないよ。自分の口で言うか、私に”喋らされる”か。好きな方選んで。』
会ったばかりの、飄々とした態度とは違う──有無を言わせない、圧のある冷たい声色。
「っ───す、まなかっ、た。」
それに満足したのか、声色が元に戻り「ごちそうさまでした」と、彼女は我愛羅の手を引き、店をあとにした。
我愛羅が、初めて感じた畏怖だった。