第4章 初任務・風ノ国の要人ドロ!!
「あら愛くん、今日も同じのかい?」
「…ああ。」
老婆は、”タン塩のタレ”と書かれた瓶を3つ掴んで紙袋に入れ、「おまけだよ」と冷凍肉の塊を突っ込んだ。
お豆腐完成まで、あと58秒───…、
ガラガラ
と扉が開き、カルタや『愛くん』と呼ばれた少年よりももう一回り小さい子供が三人駆け込んできた。
「ばーちゃん、おやつ貰いに──って、こ、こいつ?!」
「化け物のガアラだ!!」
あと45秒──
隈が縁どった瞳が暗く陰り、ポンと音を立てて瓢箪の栓が床に転がった。
老婆の手から紙袋が滑り落ち、凍り付いた肉が床を叩き、重い音がする。
「おい、お前らっ!!早く行こうぜ!」
「化け物に殺される!」
あと40秒──
瓢箪からは、死体ではなく、限りなく死体の匂いが染み付いた流砂がサラサラと落ちてきた。
「あ…あ…っ、愛くん…」
あと35秒──
豆腐を写していたカルタの瞳がゆっくり閉じると、三つ巴がくるりと回転した。
あと30秒──
『幻術・月読ノ調』
愛の字の少年は、間違いなく少年らを手に掛けるつもりだった。
が、何故か瓢箪の栓を拾い、瓢箪に戻していた。
「っ何…」
あと25秒──
『少年たちなら帰ったよ。』
トン、と我愛羅の肩に、雪のような白い手が乗った。我愛羅はそれを反射的に叩き落とした。
『いて』
「お前、俺に何をした?!」
『特に何も。』
あと10秒──
『おばあちゃん。彼にも何か用意していただいても?』
「え、ええ…」
そして、0───
殺気を隠さない我愛羅を気にも止めず、鍋の蓋を明け、中から豆腐を掬いあげた。
ネギ、揚げ玉、青紫蘇、ミョウガをかなり掴み、たんまり器に入れた。
『冷めちゃうと勿体ないから、お先にいただきます。』
老婆が奥に行き、我愛羅は殺気をより増大させた。
ふつうの下忍なら、とうに腰を抜かして逃亡を図るか、怯えて言葉も出ないような殺意だが、生憎…あの兄弟に隠れているだけで、カルタも大概、常軌を逸している。
「お前どういうつもりだ」
『私は、 髏々宮カルタ。あなたは?』
「殺されたいのか」
『君はここによく来るの?』
言葉のドッヂボールを通り越し、言葉の差し合いである。