第4章 初任務・風ノ国の要人ドロ!!
「アハッ…兄弟見捨てて、正解だったァ~」
依頼人ドロは、同情を覚えざるをえなかった。
忍は、こうも恐ろしいものなのかと。
誘拐されたカバネの兄弟・ムクロ。
彼はにんまりと微笑んで、噛み合わない歯をガチガチいわせて震えてる男の首にツタを巻き付けていく。
ツタからは明らかに毒々しい色の棘が生え、男の首からは薄く血が溢れていた。
「なっ、何故だ…どういうことだ!!」
「まっ、お前はうちのくノ一に手も足も出なかった...っつーことだな。」
この砂の上忍──、依頼人ドロの元奥さんの浮気相手である傀儡使いだった。
上忍というだけあり、その実力は確かなはずだった。
が、傀儡使いの弱点である『本体が詰められると弱い』を全く克服出来ていなかったのだ。
「俺の本体の位置が、そんな簡単に分かるわけ…!!」
遮蔽物の少ない砂漠で隠れる場所はなかった。
だが、男の傀儡は太陽光を乱反射して風景と同化する、特殊な金属で作成した。本体は迷彩の術を使って隠れ、これで男も傀儡も不可視。
傀儡使いとして、接近戦の対策は万全だった、筈なのだ。
「兄弟のオレから見ても頭おかしい、毒物コレクターなんか狙うからでしょ」
「ミズタマオニサソリの毒は、通常青の蛍光色だが、日中は太陽光を吸収して透明になり、金属──とくにクナイなんかに使われる鉛をよく吸着する。」
そう、あの”迷子の天使ちゃん”である。
シカクがそう言ってクナイを持ち、持ち手を糸でぶら下げると、傀儡使いの男の方向にクナイが揺れた。
「あの気色悪い毒と、頭おかしい昆虫コレクターの依頼人に助けられたかと思うと、オレちょっと心外~」
「くそ、あいつ…慌ててぶちまけた訳じゃなかったのか…!!」
項垂れる男を目に、シカクは内心感心した。
成功率の高い作戦だと乗ったが、正直ここまで上手くいくとは思っていなかった。
───これなら、中忍試験も。