第4章 初任務・風ノ国の要人ドロ!!
翌朝。
瞳を開かせまいとする鋭い朝日に照らされ、シカクが真っ先に起きた。横を見るとカルタが端正な顔を歪め、寝袋の中に潜るのが見えた。
「カルタ、起きろ」
『ゃ…あと…、1時間…』
「それはちと長いな」
そのまま、ムクロと依頼人ドロを起こし、周囲を見渡して違和感。
「…カバネはどこだ?」
これまでも、任務を放り出し、別のことに興じることは何度かあったが、こんなにも見晴らしのいい(悪く言えば隠れるところがない)平地で見失うほど、隊から離れたことはなかった。
シカクは、その明晰すぎる頭脳で、すぐに最悪の可能性に至った。
「カルタ、ムクロ、緊急事態だ。」
カルタの”眼”とムクロの接木による探知で周囲を探したが、結論から言うとカバネはいなかった。
そして、岩陰からカバネが大量に携帯していた、殺虫管やなす型フラスコがいくつか見つかった。
「アイツ攫うなんて、見る目無ェ~」
カルタもシカクも、内心同意だった。
カバネが大人しく、人質らしい振る舞いをするとは思えない。
…もっとも、シカクからすればムクロもカルタも、人質にするには可愛げがなさすぎるという評価だが。
『どうして寝ている私たちを襲わなかったんだろう…』
「不意打ち出来たとしても、三対一なら分が悪い。カバネとの人質交換の方が現実的だと判断したんだろう」
シカクは少し逡巡した。
結局、ドロが無事であればカバネの人質に意味はなくなる。護送を優先して砂に入るか、カバネを救助してから砂に向かうか。
だが救助に行くのであれば、非戦闘員のドロを連れて戦闘になる可能性が高い…。
『シカク先生。───任務を、優先すべきです。』
そのシカクを完全に読んだのだろう。
カルタが、すべてを見透かすような深海を思わせる眼光に貫かれた。
──毎度思うが、この目には有無を言わせない迫力がある。
「…意見を聞こう。」