第4章 初任務・風ノ国の要人ドロ!!
その晩、カバネが見張り番を買って出たのは、留まることを知らない悪意のためだった。
先日の兄弟喧嘩…勿論、自分にも悪い点があったことはわかっている。
しかし、新しく収集し始めたばかりの昆虫の固形毒を尽く破壊され、それについて謝られた覚えがない。
なに、別に大したことではない。
砂漠にも小さいながら虫は存在する。ムクロの携帯飲料に混ぜ、「自分の分と間違って、たんぱく質豊富な虫を入れてしまった。うっかりうっかり…」と言うだけ───それで今回の諍いはチャラにしてあげよう。そう思っていた。
「流石は砂漠。砂に同化して見えにくい種類が多いですね…」
昆虫採集用の細いピンセットで、白い砂同然の虫をポンポン掴んでいく。
それに熱中していると見張り目的を忘れ、ビスケットの破片を追う蟻のように、夜営から離れ、月光が届かない岩陰に入る。
「おやこれは…!!」
砂漠に生息するタマムラサキコガネムシ───大昔は、王の宝飾品や高級な絵の具として重宝されていた。今でも高値で取引される。
「ああ。最近はなんてツイてるのでしょう。やはり忍者になってよかった。」
水遁──泡水牢の術。
これはカバネが開発した、水牢の術の中に空気の層を入れた、水による虫籠である。カバネが操る水生植物が水牢の中で空気を供給し、生物の持ち運びを可能にする。
が、水の虫籠の中に紫色に輝く虫を入れた途端、カバネの笑みがスン──と消えた。
そして、無表情のまま、水牢にチャクラを込め始める。
パンッ!
カバネのチャクラにより水圧が極限まで上がり、中の虫が破裂した音である。
「なんです。この玩具。」
いや──それは、虫ではなかった。
潰したにもかかわらず、血液もなにも出なかったのだ。
カバネは、水から出てきた破片に触れた。
否、触れてしまった。
「っ?!」
カバネの触れていた破片が爆発し、千本が辺りに飛散した──!!
咄嗟に腕のツタで弾くが、数本が刺さる。
カバネは、その端正な顔を歪め、チッと舌打ちをした。