第3章 下忍・アカデミー編
翌日、正午───
「おはようございます。カルタさん」
「おはよ~」
『おはよう二人とも』
予定の1分前に双子が姿を現したが、いつも服装以外は完璧なカバネの髪の毛がピョコンと元気に主張していた。口元には黒く焦げた食パンが、肉食動物のような歯に貫かれたままである。
「聞いてよカルタ~コイツ、耳元で録音した断末魔流しても起きねえの~」
「すみません…ワクワクすると寝付けないタチでして。」
「ガキかよ」
それを聞いていたシカクは、”録音した断末魔”について聞こうか迷った。が、『この双子は相当に訳が分からないのが普通』というイルカ評を思い出してやめた。
…ナルトでさえ手懐けたイルカが、どうにも出来なかったのがこの双子なのだ。
「三人揃ったな、面倒だから早く済ませるぞ」
あむあむと、3回ほどの咀嚼で食パンを消し去ったカバネを確認したシカクが、時計を弄った。
「まず大前提を話しておく。先のアカデミーの試験では、お前らはまだ正式には下忍じゃねえ」
ここで大抵の教え子は不満を顕にするのだが、この班はほぼ無反応で、唯一ムクロだけが「へ~」と相槌を打つ。シカクはそんな彼らに内心、面白みがねーなと呟いた。
「卒業生30名中下忍と認められる者はわずか12名。残り18名は再び学校アカデミーへ戻される。…まあ、お前ら気合入れ直さねえと普通に落ちる試験だってことだ。」
「成程。それで、試験内容は?」
「もう少しいい反応してくれた方が、可愛げってもんがなあ…まあいいか。」
焦りも、怒りも、不満も滲んでいない六つの鋭い瞳がシカクに突き刺さっている。
「試験内容は、”裏切り者”を探すことだ。」
『裏切り者…』
「そうだ。この中に一人だけ、既に試験に合格して下忍になった者がいる。そいつは残りの人間を妨害する”裏切り者”だ。見つけ出して捕縛すれば試験クリアだ。」
『成程』
「たったひとりの、”裏切り者”ですか…」
「オレこういう面白いの好き~」
三人の瞳孔がギラつき、捕食者が纏う殺気で空気がピリッと冷たくなった。
「じゃあ早速だが──試験開始!!」
シカクの野太い合図と共に、三人は姿を消した。