第3章 下忍・アカデミー編
奈良シカク──どうやら彼が”上忍師”というやつらしい。
「今更知りたいこともないだろうが」と前置きし、彼は軽く自己紹介をし、同じことを3人にも促した。
「それこそ、今更…という話なのでは?」と、カバネはニヤリ意地悪な笑みを浮かべて言った。
「まあそう言うな。俺だって面倒くせえが、これも通過儀礼ってやつだ」
「鹿せんせ~何言えばいーの?」
「まあ名前と、なんだ…趣味とか忍者としての目標とかそんなんだ。」
「めんどくせぇ…」という心の呟きが聞こえた気がする。
が、それを意に介さず、おそらく先生が”当たり”だったらしいムクロが、ご機嫌な様子で「はいは~い、じゃオレからね」と元気よく挙手をする。
「名前は~緋願ムクロ。
趣味は~お洒落でイケてるもの見たり集めたりしてんの。目標ォ?は特にねぇけど、オレは面白くなりゃなんでもいいよ」
「お~楽しそうでなによりだ。じゃあ次。」
さっさと済ませたいのだろうシカクが、隣の双子・カバネを促した。それを受けて察したカバネは、ニッコリと張りつけたような笑みを浮かべながら「僭越ながら私が」と、そのバトンを受け取った。
「緋願カバネです。
趣味ですか…特に思い当たりませんが、収集癖のようなものがありまして、恥ずかしながらこの間まで蝶々の標本を作っておりました。
目標は…そうですね、先人の皆様方に恥じぬ立派な忍びになりたいです。」
「お~世渡り上手そうでなによりだ。じゃあ最後。」
「よっ姉御~」「トリはやはり我らがカルタさんでなくては」と勝手に囃し立てる双子をよそに、カルタは立ち上がった。
『 髏々宮カルタ。趣味は、強いて言えば料理です。
目標は…』
と、ここで今まではシカクを射抜いていた瞳が、一瞬脇の茂みに泳いだ。
『左に同じ、です。』
「お~簡潔でいいな。」
言い淀んで、恐らく何かを言うのをやめたカルタを、シカクは察した。が、それを今追求するのは大人のやることではない。
「明日からこの班で演習をやる。詳しいことは紙読んどけよ。
俺は書いてあることや分かりきったことは一々言わねえ。面倒だからな。」
紙1枚を3人に渡したシカクは、「それじゃあな」と姿を消した。