第2章 リヴァイ 狂犬
巨大樹を抜けて ウォール・マリアの壁を登り壁の上に立つ
50mの壁の上から広がる壁外の景色にリヴァイは息をのんだ
そこには壁の無い横に広がった雄大な風景…何処までも広がる地平線と青い空…
「すごく綺麗でしょう…
下を見たら醜い巨人がいるから気分が萎えるけどね」
アンナの言葉にリヴァイが下を見ると何体かの巨人がこっちを見ている
「あれが巨人なのか…クソみてぇに気持ち悪いな」
「そうだよ こんなに綺麗なのに壁外は巨人の世界…
私は人類がいつか巨人の脅威から解放されてこの世界を取り戻せるなら…その礎となれるなら心臓でも何でも捧げるよ
気持ちが弱くなった時はここに来て初心を思い出すんだ…」
「どいつもこいつも巨人巨人とうるせぇよ」
吐き捨てるようにリヴァイが言う
「リヴァイ…地下街と同じ戦い方だといつか死ぬよ
体も柔らかいしバランスもいい運動能力も高いよね 自分の体をちゃんとコントロール出来てる 動体視力もいいから私に付いてこれてる
私がリヴァイに勝ってるのは視野の広さだけ
地下街のように建物のある所や巨大樹の狭い所での立体起動の操作は問題ない
でも壁外は広い…もっと広範囲を見るようにしたらリヴァイは強くなるよ」
壁外の方へ足を投げ出し座るアンナの栗色の肩まである髪が風に揺れていた
「……なんだよお前は さっきまで馬鹿にしてたくせに」
腕を組み 警戒心を隠してないリヴァイにアンナは苦笑する
「枝を投げて妨害しないと勝てなかったから悔しくて あんな風に言っただけ ごめんなさい」
意外と素直なアンナはリヴァイを見上げて笑う
さっきまで睨み付けるように団員やリヴァイに上から目線で生意気を言っていたアンナとは別人でリヴァイも拍子抜けして 隣に座った
少しだけ穏やかな顔をしたリヴァイをチラリと横目で確認したアンナはリヴァイに どストレートに聞いた
「私のエルヴィンに何をするつもりなの?」
穏やかな顔から一転して鋭い狼のような顔付きに変わった
それでもリヴァイより小さなアンナは静かに殺気を含む視線を受け止める
「私はエルヴィンの為なら死ねるの リヴァイがエルヴィンに何かするのなら今ここで…」
「お前に俺が殺せるのかよ」
「リヴァイ…視野は広くだよ」