第13章 エルヴィン 密かな遊戯
薄い粘膜を這うエルヴィンの舌に アンナの体はぞくぞくと反応して 床にお尻を落とした
慌てたエルヴィンがソファーから立ちあがり背面にいるアンナの傍へと来て片膝をつきアンナの手を伸ばし立ち上がらせるとソファーに座るようにアンナに言った
エルヴィンがアンナに背を向けて歩き出してすぐに小さな衝撃と柔らかな感触が背中に飛びついてきた
「団長―…大好きです
私は…告白されたのも初めてですし―…こんな風に触れあう事も初めてで
だから―…もうこれ以上団長を見るのが恥ずかしくて心臓が飛び出しそうなんです!」
女性を抱いたり抱かれたりする事は初めてでは無いくせに 背中に感じるアンナの胸の柔らかな感触が生々しくてエルヴィンの方も余裕はなかった
「最後に私にもアンナを抱きしめさせてくれないか?そうしたらアンナを兵舎まで送って行こう」
「1人で帰れます……」
「もう夜も深い 兵団内でも安全とは限らない事は知っているだろう…兵舎までは送るこれは絶対だ」
「分かりました…」
エルヴィンはアンナと向かい合うと腰を曲げて目線を合わせた
「私もアンナが好きだ―… 」
エルヴィンの大きな体にアンナの小さな体はすっぽりと収まり強く抱きしめられた
入浴をしてないエルヴィンの体からは男の匂いが濃くしている アンナにはそれは嫌な匂いではなくてクラクラと酔うほどにたくましく感じる匂いで 強く抱きしめられているのをいい事に深く何度も吸い込んだ
深夜の幹部棟には人気もなく2人は手を繋ぎ私室のある兵舎へと歩いていく
女子兵舎の前でエルヴィンは手を離すとストールを巻いたアンナをもう一度抱きしめた
「あの団長―…」
アンナが自分の口の横に手をつけて内緒話をするような仕草をするから エルヴィンはそれを可愛らしく思い耳を寄せた
「エルヴィン…おやすみなさい―…」
アンナがエルヴィンの耳元でささやき外耳部分にキスをして逃げるように離れ手を振り女子兵舎の中に消えていく
参ったな……落としたつもりが 落ちたのは私の方か――
エルヴィンは甘く痺れる耳に触れながらアンナが見えなくなるまで見送った