第13章 エルヴィン 密かな遊戯
エルヴィンは手を伸ばしアンナの手を掴みゆっくりと起き上がると 首まで赤くなって目を回しているアンナとの距離が近づいた
青い瞳がアンナを優しく見つめて 大きな手は手首から離れて アンナの頬を撫でてから親指で唇をなぞった
触れられた所がピリピリして それは甘い痺れとなって体の奥へと広がっていく
「嫌なら逃げないと――もっと触れてしまうぞ?」
大人の色気をだだ漏れさせているエルヴィンの視線がアンナの心臓をキュッとさせる
「団長―…好きです」
唇を動かすと親指が少し離れた アンナはエルヴィンを真っ直ぐに見つめていると青い瞳が少しだけ揺らぎ視線を外した
「まさか……」
アンナから言わせようと 思わせぶりな態度をとっていたくせに いざ告白されればこんなに熱くなるほどに体が反応するとは思ってなかった
耳まで熱くなり赤く染まっているはずの顔を 青白い月明かりで隠せている事にホッとしながらも視線をアンナから外してしまうほどにエルヴィンは恥ずかしさに負けてしまった
ただアンナはエルヴィンの呟いた「まさか」の意味が分からず少し混乱していた
「団長はバラの花の意味は知っていますよね?」
顔に触れたままの手にポタリと何か落ちてくる感触がして 視線を戻すとアンナは泣いていた
「初めてだったんです…男性から花を贈られるのが――」
「意味はもちろん知っている赤いバラを女性に贈ったのは…アンナが初めてだ」
触れていた手を離しアンナの頬に流れている涙に唇で触れた エルヴィンの唇はアンナの唇へと近づいてくる
「アンナが好きだ―…」
エルヴィンの柔らかな唇が緊張して固くなったアンナの唇に優しく触れた アンナの唇をはむようにして触れては離れていく 後頭部に回された大きな手はアンナの栗色の柔らかな髪を梳いては撫でていく
キスを何度も繰り返されてエルヴィンの柔らかな唇が気持ちよくてアンナの緊張もほぐれて固かった唇が柔らかくなった頃
エルヴィンは舌でアンナの唇の隙間にそっと入れて端から粘膜をくすぐるように這わせた