第18章 白虎のお里に行ってみよう
みんながいる所を軸にして右へ左へと。
もくもく湯気のせいで見失わないようにしながら川沿いに動いてみた。
植物なんだし、あるとしたら水が豊富な所かな、と踏んで。
なんせ、緑がほぼ皆無なんだよね。
だから、他の場所は期待できないのよ。
「お、一輪見っけ。」
やりぃ。
期待通り!
「それ、取らないでもらえるかな。」
「ぅぉわっ!」
手を伸ばそうとしたら、いきなり後ろから声がかかって思わず飛び上がった。
「おっと。」
その人はいい反射神経で、私の頭突きを回避。
良かったけど良くはない。
振り向いてみると、綺麗な男の人が立っていた。
黒髪で茶色目で中性的。だけど、声がちゃんと男の人の声。
背は高くもなく低くもなく。体型はスラリとしている。
服装は見たことない旅装束の様な感じで、茶色と黒で合わせている。
「…あの…どちらさま…?」
こんな所に人ってオカシくない?
え、幽霊とかじゃないよね?
場所が場所だけに、いくら綺麗な人でも、いや、綺麗だからこそ、却って不気味さが倍増する。
その人は、こっちの気もお構いなしににこりと笑う。
「僕はユーリューって言います。」
「ゆーりゅー…?珍しいお名前ですね…。」
ほんとにすっごい聞き慣れない感じ。
「そうかな?僕達の中じゃ、特別珍しくもないんだけど。そう言う君の名前は?」
「あぁ、えっと、エニシって言います。」
エニシさん、と飲み込むように口にしたその人は、また瞳をこちらに向ける。
「あぁ、それでね、その花を取らないでもらいたいんだ。僕達にとって、とても貴重な花だから。」
何処となく胡散臭い笑顔に見えるのは私だけ…?