第15章 決別
ペインの部屋からは、雨隠れの街並みがよく見える。
長門は窓辺に立って、何をするでもなく、ぼうっと外を眺めている。
隣には、変わらず小南が佇んでいて、彼女もまた、ぼうっと街並みを眺めていた。
コンコンコン。
不意に叩かれたドアに、ふっと世界が引き戻されるように彼の顔は取り繕われた。
「入れ。」
それを合図に、ドアを開けたのはイタチだった。
「帰ったか。首尾はどうだった?」
聞きながら椅子に腰掛けると、イタチも倣って彼の向かいに腰掛ける。
イタチは懐から巻物を取り出すと、所定の位置からボンと資料を出して手渡してきた。
「これが隠し財産の在り処だ。五尾と六尾の情報もある。確認してくれ。」
「分かった。」
ペインは差し出された書類を受け取ると、ざっと目を通していく。
「…ふむ…確かに受け取った。」
彼がそう返事を返すと、イタチは何も言わずすっと立って部屋を後にしようとする。
ペインは、その背中に「待て」と言葉をかけた。
「うちはエニシだが…。」
言ってから、苦い物を呑み込むようにほんの少しの間を開けて、口を開く。
「今後、暁の脅威になると判断した。よって、抹殺命令を出す。いいな。」
イタチは、足を止めて少しだけ振り返る。
その顔からは、感情は何も読み取れない。
「…承知した。」
彼はそれだけ言うと、振り返ることなく部屋を出ていく。
パタリ、とドアが閉まるのを確認してから、ペインは小南に向き直る。
「…これでいいのか?」
「ええ…、ありがとう。」
「てっきり小南は…、イタチだけには抹殺命令を出したくないんじゃないかと思ったんだけど…。」
「そんな事したら怪しまれるわよ。私達は見張られてるって気付いたばかりじゃない。」
小南の困ったような笑顔に、長門が言葉を言いかけて飲み込んだ。