第12章 懐かしい顔と新しい顔
「小さい時のだから、鮮明には覚えてないですけど。一番初めは、兄が死んだ時でした。」
ショック受けてる内に囲まれたんだよね、きっと。
「夜だった筈なんですけど、気づいたら明け方で。周りは数十体の死体の群れが広がってて、血の海状態で。体に残る感触ってあるじゃないですか。それで『これは自分がやった事なんだわ』って自覚したって感じです。」
「その一回か?」
「いや、何回かそういう状態にはなってます。…多分二ヶ月位の間に数十回…くらい?」
初めて”癖”が出た日から綱手様に会うまでの間。
どれくらい森の中を彷徨ったのかは覚えてない。
その間、水は飲んだ記憶はあれど、食べ物を口にした記憶はない。
確か、水だけで生きられる人間の限界は二ヶ月だって聞いたことあるんだよね。
だから、二ヶ月以内。
「切り替わってる間の記憶は無いんだろ?」
「はい、全くありません。何せ無意識なもんで。」
「…いや、あれは無意識とは言えねぇ。しっかり受け答えしてたからな。無意識だったらまともな答えなんか返ってこないだろ。」
「え…?会話してた…?」
私が?
「…寝言的なものじゃなく?」
「違うな。そう言う類のものじゃない。」
どういうこと…?
目をぱちくりしながら見上げていると、サソリさんは少し腕を組んで考えた後、ぽつりと溢した。