第10章 ルーツを探しに出かけましょ
「でも、軽率だって自覚はあるよね?」
「…さーせん。」
こんなに警戒心がないのは心配ではある。
イタチの傍にいるのなら尚のこと。
(僕は本当に心配になりますよ…。)
隣でユリが小さな声で言うと、エニシは苦笑した。
「うん、心配かけてごめん。」
「ま、とにかく。テストはもういいか?中は片付けたから入っていいよ。」
「分かりました。今片付けま…、うん?」
ぱっと右目を押さえたエニシは怪訝な顔をする。
「誰かいる…?」
その言葉にカカシとユリの気が鋭くなった。
「誰だか分かるか?」
「うーん…人影は見て取れるんですけど、動きが速くて。しかも建物の死角を上手く使ってるんで姿が見えなくって。…ってあれ?…落とされたっぽい。」
その申告通り、確かに打ち落とされた様だ。
丸いシルエットが一瞬で萎んで落下してしまった。
「地面が見える。…うーん、これは自分で動けないのがイタイね。ぎゃっ。」
煩いなぁ、と思いつつもカカシは口を開く。
「…何がどうなったのよ?」
エニシはしょぼんと肩を落としながら手を外し両目を開く。
「壊されました…。結構苦労して作ったのに…。」
「そりゃあんな怪しい物がぷかぷかしてれば落とすでしょ。」
「分かりますけど…。あー!チクショウ!」
エニシは悔しそうに頭を掻きむしる。
「一度あれが落ちた所に行ってみた方がいいのではないでしょうか?」
ユリの言葉にカカシは頷く。
「俺が行ってくるよ。お前達は中に入ってて。」
「分かりました。エニシさん、行きますよ。」
「…は〜い。」
―どっちが護衛なんだか分からないな。
カカシはくすりと笑って見送ってからその場を離れた。