第10章 ルーツを探しに出かけましょ
―これの出番か…?
カカシはそっと隠された左眼に触れる。
ソウイチには意思を操る類の術がかけられていた。
手練れの者でなければ幻術にかかっていたことすら気付けないだろう。
印もなく、現状の齟齬が自覚出来ない幻術をかけられるとしたら瞳術、つまりは写輪眼でしかなし得ない。
このままずるずると平行線を辿るのならばと腰を浮かした時、
「何見てるんですか?」
隣からする筈のない声がカカシを止めた。
ばっと彼がそちらを向くと、「やっ!」とでも言うかの様に片手を上げる…
「お前っ…何処から…!?」
エニシがいた。
にまにまと揶揄う様な笑顔で。
「むふふふ。カカシ先生驚いてますねぇ。遂に一本取っちゃった?ねぇ取っちゃったカンジ?」
単純に腹が立ったカカシは反射的にデコピンを喰らわした。
まともに喰らったエニシは額を押さえて悶絶する。
「〜〜!!…痛っったいがな…!」
「…お前こんな所で何やってんの?」
「ひどいっすよ、先生!!一本取られたからって八つ当たりなんて!!」
「人の話を聞きなよ。それに今任務中だから。何をしれっと混ざり込んでくるのよ。」
涙目のエニシにカカシは冷めた目で見やると、小さくため息をつく。
それを見たエニシは誤魔化す様に笑いながら頬を少し掻く。
「それは、ほら…ね?緊迫してないから大丈夫かな〜と思って。」
「任務に上下はないの。何事にも緊張感はあって然るべき。忘れたわけじゃないでしょうに。」
カカシは益々肩を落として頭を抱えた。
他の任務中には首を突っ込むなかれ。
それは、単に注意力が四散するだけでなく、仲間内での結束力が乱れる一因にも成りかねないからだ。
ましてや今の彼女の立場は抜忍である。
ならば尚のことだ。