第10章 ルーツを探しに出かけましょ
少しの間、混乱の様相を呈していたが、やがて落ち着きを見せた。
そのタイミングでカカシがそっと手を離すと、ソウイチははっと我に返り、きゅっと唇を噛み締めた後、顔を上げた。
「一ヶ月ほど前のことです。突然街全体が破壊されたんです。最初は何が起きたのか分からず…。外を確かめに出た時には、既に辺りが一変していました。」
彼は両手を握り締め、俯く。
「なす術もありませんでした。呆然としているうちに俺を含む街の主だった者達は次々と捕まり、屋敷の地下に閉じ込められてしまいました。三十人近くはいたかと思います。奴らは何かを探しているようで、関係性がないと分かった途端、次々と殺されていきました。」
「…何故、あなたはあの場所で行き倒れていたんですか?」
長十郎は痛ましそうに顔を曇らせながらも遠慮がちに問いかける。
ソウイチはそれに答えようとするも、すぐに逡巡を見せた。
「話してもらえませんか?」
カカシが優しく促すとソウイチは瞳を彷徨わせながらもゆっくりと口を開いた。
「…アオイと名乗る人が牢の鍵を開けてくれたんです。それに食べ物と回復薬もくださいました。ただ、その回復薬は、一時的なものだと言っていました。だから街の外に出るだけで精一杯だったんです。」
「そこには何人いたんですか?」
「俺を含めて五人です。」
「他の人はどうしたんですか?一緒ではなかったんですか?」
長十郎は少し不思議に思い、問いかけた。
結果的に見ると良かったのだが、”逃げる”という知識を持っていなければ、一緒に逃げるという選択肢を取りそうなものだ。
「…俺達はてんでばらばらに逃げたんです。少しでも捕まるリスクを抑えて外に助けを呼べるように。今思うと、固まって逃げるという選択肢が出てこなかったんです。」
牢から出た時点で既に幻術にかかっていたのだろう、と三人は考えた。
だから本人の意思が行動に反映されなかったのだ。