第10章 ルーツを探しに出かけましょ
「な、に…?」
完全にマダラはエニシを見失っていた。
鬼鮫もいつ本体がいなくなったのか気づいてもいなかった。
「ざま〜みろ〜!!」
少し離れた所から罵倒が聞こえてきて、その気配はまた消えてしまう。
「おやおや、してやられましたねぇ。」
鬼鮫が笑いを噛み殺しながら言うと、珍しく仮面の下の目が不機嫌そうに眇められる。
「手を貸せば良かったんじゃないか?」
「ご冗談を。人手がほしかったんですか?」
鬼鮫がくつくつと笑いながら言うと、マダラは感情を逃すようにため息をついた。
八つ当たりなのだろうとは理解していたが、手を貸したくなかったとは思われたくはない。
「それで、どうしてこちらに?」
てっきりイタチの方にいるのかと思っていた鬼鮫は軽い体を装って尋ねる。
正直に言えば、マダラがここに来た時、少し焦ってしまった。
“らしくなく”エニシに付き合い、指導めいたことをしていたからだ。
「あれを使おうと思ってな。」
「ほう…?」
「そうすれば、もっとイタチをこちら側に引き込めるかと思ったんだが…。」
エニシを質に取るのか、はたまた害することで絶望や憎悪を煽るのか。それともなければ暁に引き込むのか…。
何にせよ、彼女は碌な扱いを受けないだろう。
「ふむ…。果たしてそう簡単にいくでしょうかねぇ?」
エニシという人間は、良くも悪くも常に予想の範疇外だ。
そんな彼女がマダラのやることを唯々諾々と受け入れるとは思えなかった。
「…どういう意味だ?」
「そのままですよ。あの子は気に入らなければとことん突っぱねますよ?今日のように。」
鬼鮫が飄々と返すと、マダラはつまらなそうに背を向けた。
すると宙に渦巻きが現れる。