第10章 ルーツを探しに出かけましょ
「ふむ…。確かに接戦は心惹かれますがねぇ。」
鬼鮫は接戦に持ち込んでみろと言わんばかりに、エニシに合わせてスピードを上げていく。
そして、単純な力比べでは鬼鮫に軍配が上がる以上、エニシの方が多少不利ではある。
が、それしきで小さくなるような奴でもない。
「んじゃ、いっちょやってみますか!」
楽しそうに言うと、エニシは緩急をつけながら流れるように乱撃を繰り出した。
空中での回し蹴り、地面すれすれでの上段蹴りからの足掛け技、様々な角度からの翻弄するような体術。
そのどれもが、俊足のスピードだった。
鬼鮫は、楽し気にニヤっと嗤う。
ここ最近、何度か付き合ってから初めて見る手だったからだ。
「ほう…。瞬身のシスイを思わせるような…。」
呟くように言うと、エニシは嬉しそうに笑う。
「奇遇ですね〜。私の兄もシスイって名前なんですよ。」
「成程。腐ってもうちはですねぇ。」
「いやいや〜。鮮度抜群ですよ〜。」
「分かってて言ってますよね?」
「もちろん♪」
そんな軽口を叩きつつ、動きは常に最速だ。
「折角ですから、瞬身を全力で叩き潰してみましょうか。」
「…折角ですからって…。文が可笑しくないですか?」
「滅多に会うことのない異名持ちなんですから、機を逃すのは勿体無いでしょう?」
そう言った鬼鮫の攻撃は段々と重く鋭くなっていき、エニシはげんなりする顔を全面に晒した。
「いやいやいや、そんな理由で潰しにかかる人は鬼鮫さんくらいだと思います。」
その間にも一手一手が彼女を追い詰めていく。
「くっ…!」
段々とエニシから余裕が消えていき、真剣そのものの顔つきになっていく。