第10章 ルーツを探しに出かけましょ
「いきます!」
その掛け声と共にエニシは真正面から間合いに入ると短い木刀を振りかぶった。
鬼鮫は軽々とそれを避けると、カウンターを狙う様に急所を狙う。
だが、鬼鮫の木刀はエニシのすれすれを空振り、後ろへと抜けていく。
その空いた脇腹を狙ってエニシは地面に着いた手を軸に蹴り飛ばそうとするも、同じく空振りに終わる。
勢いのままがら空きとなったエニシの背を狙い再度木刀を振り下ろそうとするも、上手い具合に短い木刀を当てる様にしていなしてしまう。
そんなやりとりが目にも止まらぬ速さで繰り出されていて、見ている者には目で追いつくのがやっとだ。
通りすがるある者はぽかんと口を開けて見入り、ある者は動きを食い入る様に見るが、半分目で追えていれば御の字といったところだろう。
暫く攻防が続いたが、鈍い音と共にエニシが吹き飛ばされた。
「ああぁぁ〜!また負けたぁ〜…。」
受け身のまま転がり、止まった所で大の字にひっくり返った彼女は、悔しそうに負けを認めた。
「攻撃時には避けるより刀で受け止める方が効率的だと言ったでしょう。」
「分かってるんですけどね〜。とうしても避ける方に反応しちゃって。切り替えって意外と難しいもんですね。」
よいしょっと言いながら跳ね起きると、自然な動作で再び構えた。
それを見て、少し不服そうにしながら鬼鮫も構える。
「…諦めたらどうです?」
「諦めたら試合は終了なんです。インターハイには届きません。」
「何の話かは知りませんが、心底どうでもいいですね。」
そう言いながら、鬼鮫は先手を打つ。
「っ……!手に汗握る接戦は見応えありますよっと!」
振り下ろされた木刀を押し返しながら、エニシは写輪眼に切り替えると、先ほどよりも更にスピードを上げて急所を的確に狙い撃ちする。