第10章 ルーツを探しに出かけましょ
実力主義は実に簡単だった。
仲間となったその日から始まった一極集中の攻撃に、涼しい顔で反撃を繰り返しているうちに徐々に周りの態度が軟化していった。
アオイはまだ、実力の半分も出し切ってはいないというのに…。
この程度で、どうしてこの街を落とそうなどと思ったのか。
また、それが”出来てしまった”のか。
この街とて、それなりに攻撃体制も防御体制も整っていただろうに、ここまで跡形もなく壊滅するとは考えづらい。
それも、イタチ率いる無法者達に負傷している様子は見当たらないし、他に仲間がいる、又はいた様子もない。
―裏がありそうだな。
彼らだけでは完結しない何かがある、とアオイは考えた。
さて、どうやって聞き出そうかと思案したところで、微かにエニシのチャクラを感じた。
―まさかっ…!
そう思ったが、周りに人の気配はない。
出所を手繰ってみると、どうにも自分の内側からそれは感じられる。
不思議な状態にイタチは内心首を捻る。
他人(ひと)のチャクラが自分の中から溢れ出すものなのだろうか、と。
だが、アオイはエニシの治療を頻繁に受けていた為、そういうものであると言われればそうなのだろうと納得できる。
現金なもので、不都合がないと分かると嬉しい想いの方が強くなる。
ただ傍にあるだけで落ち着く時もあるのだ。
暫くの間、じっと意識を澄ませてそれを感じていたが、ふつりと途切れてしまった。
少し残念には思ったが、気分は概ね良い。
アオイは、ふと思いついたように面を上げる。
ーひとつ、肖ってみるか。
彼は足取り軽く、イタチの元へと向かった。