第10章 ルーツを探しに出かけましょ
「名乗らないのか?」
「すまない。赤い目が珍しかったので、ついな。」
事実、色とりどりの世界で、赤い目というのは珍しい。
うちは一族でも、地の色は黒だ。
「名は、アオイという。」
「…アオイ、改めて聞こうか。ここへは何しに来た?」
イタチと呼ばれた男は目を据えて、ひたとイタチ…アオイを見た。
その圧は、一目で周りと一線を画していると分かる。
「…ここに来れば、うちはイタチと会えると。噂を聞いたものでな。」
「そうか。それで、俺に会った感想は?」
「そうだな…。強そうだな、と。」
…お世辞を言うのに慣れていないアオイは何とも言えないむず痒さを抱える。
だが、イタチはどこか皮肉気ながらも満足気に嗤った。
アオイはそれを見て、悪くない感触と判断する。
「俺もあなたの下に就きたいのだが、どうだろう?」
「…いいだろう。こいつらの攻撃を難なく潜り抜けたことだしな。」
「イタチさん!…いいんですか?こんな何処の馬とも知れない奴を傍に置いて。」
「そうですよ、もし何かあったら…」
「あったら何だよ?俺がそう簡単にくたばるとでも思ってんのか?」
「いや…。」
イタチがひと睨みしただけで、言い募っていた者は怯えを浮かべながら目を逸らした。
それを小馬鹿にしたように小さく鼻で嗤うと、イタチも彼らから視線を外した。
「俺のやることに口出しするんじゃねぇよ。」
アオイを見ながらそう言うと、イタチは小さく嗤う。
「歓迎するぜ。ここでは俺の言うことさえ聞いてりゃルールはねえ。好きに過ごせばいい。」
尊大な態度からは、揺るがない自信が窺えた。
「…あぁ、そうさせてもらおう。」
アオイは言いながら黙礼を返した。