第10章 ルーツを探しに出かけましょ
「今から情報収集へ向かうが、今回は俺一人での単独行動だ。故にお前を連れていく訳にはいかない。だから、お前は鬼鮫とここいろ。」
「え、それすぐ帰って来れるの?」
「早くて二週間、手間取れば二ヶ月はかかるだろう。」
「はい?いやいやいや、それじゃせめて診察くらいさせてよ。そんなに長い期間空けたら体調崩すよ。簡単にでも治療してからの方が効率いいって。」
「そうも言ってはいられない。介入は早ければ早い方がいい。とにかく、お前はここで待機だ。いいな。」
「んじゃ、私も同行する。体壊さないように補助するよ。」
ひとの話を聞け、とイタチは内心突っ込んだ。
「駄目だ。同行は許さない。」
「でも…」
「いいか、絶対ついて来るなよ?」
彼はこれでもかと言わんばかりに強気で念押しを試みる。
これで怯むタチではないことは百も承知ではあるが、明らかな線引きを無理矢理超えてくるほどエニシは愚かでもない。
…ないと信じたい。
「返事は?」
「…はい。」
かくして、イタチの読みは当たったらしい。
物言いたそうな、何とも言えない顔はするが、彼の意思は汲む気があるようだ。
「鬼鮫、エニシを見張っていてくれ。」
言いながらそちらを向くと、少し苦い顔をした後、不承不承と言った風に頷いて見せた。
「いいでしょう。」
鬼鮫に手綱を任せたイタチは予定通り、宿を出た。
道中を急ぎながら、ふとイタチは思う。
勢い任せではあったが、エニシという足止めが出来たことは結果的には良かったのだろう、と。