第10章 ルーツを探しに出かけましょ
一羽の鴉が夜半、イタチの腕に止まる。
彼は、鴉が齎した情報に少し眉を顰めた。
“うちはイタチの無差別虐殺”
その一報が彼の元に入ったのは、エニシが熱を出して寝込んだ日のことだった。
「こんな所でどうしたのですか?」
後ろから声をかけられたイタチは、鴉を闇に溶かす様にするすると手元から消すと、鬼鮫の方を見やる。
「そういうお前こそ何の用だ?」
「あなたの姿が見えないものでね。探しに来たんですよ。」
「心配か?」
何の、とは敢えて問わない。
「ツーマンセルでの行動は基本なのでね。」
そう返す鬼鮫からは感情は読み取れないが、少なからず疑わしいと思われていることは分かる。
互いに互いを監視する。
この規律は大蛇丸の裏切り以降、他のツーマンセルでも行われている。
そして、鬼鮫は暁に従順な姿勢であることは浅からぬ付き合いの中で分かっていた。
では、どうするか。
イタチは、様々な事象を天秤にかけ考える。
周りの目を考えないのであれば、即決で調べに赴くだろう。
しかし、鬼鮫の目がある。
彼の手前、迂闊な行動は取れない。
だが。
状況をみるに、訳も知らずに放置しておいては暁としても沽券にかかわるのではないだろうか。
見方によっては、”名を勝手に使われた”或いは”暁は無法者の集団である”と捉えられなくもない。
ペインを見る限り、何某かの大義名分のもと動いているようにイタチには見える。
であるならば、この情報は真偽及び理由は少なくともはっきりさせるべきであろう。
ただ、安易には鬼鮫を噛ませたくはない。