第10章 ルーツを探しに出かけましょ
霧(目眩し)→からの攻撃→振り出しに戻る
…的な図なのかしら。
「そうなると、あの水球は閉じ込めて気を失わせる術か、海辺であるここまで強制送還する術だった、ってとこですかね。」
敵といえど、血を嫌う彼らが死に近い術を使うとは考えづらい。
「そうですねぇ。時空間術を扱えるなら、そういう可能性もあり得そうですねぇ。」
その時、びゅおぉ〜と冷たい風が海から吹き抜けていく。
「さむっ!!」
海風が、残っていたエルフの里での暖かい空気を根こそぎ押し流してしまった。
「今が冬だってことを一気に思い出しましたよ。」
私は両手で二の腕を摩り摩りしながら体を丸めた。
「これしきで寒いだなんて。弛んでるんじゃないですか?」
「いや、普通だと思いますよ。」
「私は全く感じませんがね。」
…うそだぁ。
体感的に5℃くらいだよ?
「もしかして、人より体温低かったりしません?」
「…見た目で判断してるなら遠慮なくデコピンさせてもらいますよ?」
反射的に両手で額を押さえたら、思いっきり足を踏まれて悶絶した。
痛っったいがな。
「容赦ねぇぇ…。」
踏まれた方の足を庇って、けんけんと飛び上がっていたら、むぎゅっと首にもこもこの何かを巻かれた。
「あったかい。」
肌触りがシルクみたいに滑らかな黒い毛皮みたいなマフラーだった。
「え、これ、は…?」
「昨日、あなたを尾行するついでに買いましたよ。あなたもくだらないことに夢中になる前に、防寒着くらい揃えたらどうです?」
「ふはっ。そうですね。」
絶対、”ありがとう”とは言わせない鬼鮫さん。
でもここは、敢えて言おう。
「ありが…」
「お代は、四百両です。」
…まさかの代金請求。
しかも値段がリアル…。
「宿帰ったらお支払いします…。」
この謎のプライドは何なんでしょうか。
本気で分かりません。