第30章 螺旋の薔薇【🌟 → 主 ← 🌹 ✉️*】
「待って、………待って、ふたりともっ……!
落ち着いて、………こんなの、あなた達らしくないよ」
その言葉にピタリと触れる掌が止まる。
ヴァリスの身体をふたりがかりでその腕のなかに囚えながらも、
すぅ………っとふた組の視線が冷えた。
「オレ達らしくない………すか?」
至近距離で瞳をのぞき込む。
心まで見透かしてしまいそうな程したたかな眼差しに、
思わずヴァリスが顔を背けようとするも、「駄目っすよ」とそっと顎をつかんで引き戻した。
「酷いこと言うんすね。———オレとラムリが、
主様が誰にでも平等に微笑いかける光景を見る度にどんな想いでいたのか………、
あなたは想像したことがあるんすか?」
「え……?」
戸惑った瞳で見上げられた。
その視線の先で、ふわりと螺旋を描き波打つように流れる彼女の髪をひと房指に絡める。
その髪に愛おしく唇を押し当てると、ヴァリスは吐息を封じた。
白磁のような頬が林檎のように真っ赤に染まっていく。
そのさまを目を細めて見つめながら、ぐっと手首を引いてよりきつく腕のなかへと閉じ込める。
隙間なく密着する身体に、ヴァリスがその身を強張らせた。