第30章 螺旋の薔薇【🌟 → 主 ← 🌹 ✉️*】
「主様、少しだけ待っていてくださいね」
ヴァリスの肩にふわりと自分のシャツをかけるとアモンへと向き直った。
「ローズくん、ノックもせずに主様の寝室に入るってどういうつもり?」
そう言って、彼女の素肌を隠すように、片腕を広げて立ち塞がる。
アモンは彼を睨み付けながら唇をひらいた。
「それ、ラムリが言えた口っすか?」
「……どういう意味?」
「ラムリだって、主様の発作の抑制にかこつけて、主様を抱いてたんすよね?
オレたちは主様に仕える悪魔「執事」であって、それ以上を望んじゃ駄目なのに」
「「はぁっ??」」
互いの眼を厳しく見据えるふたりの間に強引に割り込んだのはヴァリスその人だった。
「ふ、ふたりともっ……やめ………ぅ、けほ、………けほっ」
深く息を吸ったことで咽喉につかえそうになる呼吸。
ぶかぶかなラムリのシャツの胸元をかき合わせて肌を隠していた指が仄かに震えている。
そして自分の心臓を押さえながらその唇をひらいた。
「ラムリはただ、私の発作を鎮めるために、
事務的に私に触れているだけよ」
その言葉に、自分の瞳が鮮烈な熱を帯びていくことが、鏡を見なくともわかった。
「……主様、それ、本気で言ってるんすか?」
「え……?」
伸ばした指でヴァリスの手首を掴んで強引に引き寄せる。
華奢な体格からは伺い知れない程の強さで抱き寄せると、アウイナイトの瞳が怯えにゆらめく。