第4章 2人だけの誓い
ある日ジルの所から帰ってきた時 玄関のドアの前に小さな籠が置いてるのを見付けて中を見ると
「ヒトリデスゴス カナコヘノオクリモノ」
と書いたメモがあり 地下街では贅沢品の生花のブーケとバタークッキーと本が入っていた
小さな小瓶に黄色い花のブーケを生けてキッチンテーブルの上に置きニコニコと眺める私を見て
「こんなんでほだされてんじゃねぇよ」
リヴァイは可愛いらしいヤキモチをこんがりとやいた
籠の中に入っていた本はロマンス小説で切なくて悲恋なのかと思ったらハッピーエンドで終わった
こんな内容の本を選ぶファーランを私は好きになった
読み終わった翌日 籠の中に本とその感想を書いたメモと 手作りしたスウィートポテトパイを入れて玄関に置いた
それから何度かそのやり取りは続きそのたびにリヴァイは顔をしかめ
「よりにもよってカナコから落としにかかるか…手段としては悪くねぇな」
怒っているのか ほめているのか素直じゃないリヴァイはそんな言い方をして彼なりにほめていた
たぶん私達はファーランの戦術にはまったのだ
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新しい家は 1階はリビングとキッチン ファーランの書斎と寝室 浴室とトイレ
2階は私達の寝室と私の仕事部屋になった
ファーランと一緒に住むと聞いた時はちょっと驚いたけど…
リヴァイとファーランは組んで仕事をしだすと相性がいいみたいで信頼できる仲間も少しずつ増えていった
唯一の不満はジルの店から離れてしまい1ヶ月に1度でも会えればいいくらいになってしまった事
なので私の仕事はファーランの走れなくなった仲間が路地に小屋を建ててそこが新しい窓口になっている
ファーランや足が悪い仲間に「新しい仕事を作ってくれてありがとう」なんて言われてしまい 私の居場所もちゃんと出来た
それと階段の近くだからか 以前の所より裁縫道具や刺繍糸の種類も多いし 市場に並んでいる品物も充実している
「ミシンも手に入れることは出来るぞ」
それを聞いた時はテンション爆上がり飛び跳ねた
大体の価格を聞いてコツコツと1年間お金を貯めてミシンを手に入れた
繕い物の仕事が楽になった分 刺繍の仕事を増やし今では6割くらいが刺繍の仕事になり収入もかなり増えた