第4章 2人だけの誓い
地上であれば戸籍や住民登録など生まれた時に手続きをする役所もあるらしいけど
地下街の奥はかなり治安も悪くて憲兵団さえも地下街の全てを把握出来ていない状態だから
こんな異世界人の私とリヴァイの関係も 周囲が認知してくれればそれが事実になるらしい
だからなのかリヴァイは「形に残る物を」と言ってシンプルな銀色の指輪を買ってくれた
「面倒くせぇ」とか言うタイプだと思っていたから リヴァイが小さな巾着袋からお揃いの指輪を出して
私の左手の薬指にはめてくれた時は嬉しくて泣いた 泣きながら私もリヴァイの薬指に指輪をはめた
リヴァイは私の涙を指で拭うと 今まで見た中で一番柔らかな優しい目をしていた
「カナコ ずっと一緒だ…愛してる」
「ありがとう…私も愛してる ずっと一緒にいようね」
リヴァイも私に「ありがとう」と返してくれた後 キスを何度もして簡単だけど すごく幸せな2人だけの誓いをした
それから半年過ぎた頃 私達は11号階段の近くに引っ越した
あの日広場のベンチでファーランがしてきた提案はリヴァイと組んで仕事をする事だった
私が不注意にも近所の市場の住人に素顔を見られた事もあり リヴァイはファーランの提案を受け入れた…というかファーランの作戦勝ちみたいな感じだった
「カナコがあの路地に行かなくても アイツの事だ カナコを見付けて声をかけていただろうな」
あの日リヴァイが言った通り リヴァイより断然警戒心の薄い私は帰り道を変えたにもかかわらず 数日後に家の玄関の前でファーランから声を掛けられるという始末だった
それから頻繁にファーランは家に来てリヴァイの仕事に勝手付き合ったり 自分の仕事に無理矢理付き合わせたりしてリヴァイの警戒心やら心の壁を少しずつ壊していった
「俺が居ない時に誰がきてもドアを開けるな」
私はそれだけは頑なに守っていた
リヴァイが仕事に行き 1人家で仕事をしている時にファーランが訪ねて来てもドアも開けず返事も返さずに黙々と仕事する
何度かノックをして 返事が無いと
「またな…」
と言葉を残してファーランは帰っていく