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【進撃の巨人】月と青い鳥

第3章 からだと心





。。。。。。。。。。



路地で止められるのかと思った だが違った

「殺すのか」 と聞かれた


俺は奴から教えてもらったルールで今まで生きてきた それを疑問にも思わなかった 殺られる前に殺れ…殺せば次に狙われる事はない




カナコが去り気配が消える

一瞬だけ緩んだ殺気がまたふくらむ




「…仲間は死んだか?」




「今はまだ生きてるがこのまま放置すれば死ぬだろうな」



俺の下になった銀髪の男が笑った




「ハハッ… 俺の負けだな…

それなりに子分引き連れていっぱしの男になってたつもりでさ…

1人で地下街を生きてる生意気なチビが居るって噂があったんだよ 痛めつけて下に置くつもりだった
他人の強さを図れない奴は生き残れねぇ…って事だな…まぁ 仕方ないか…」




「言いたい事はそれだけか?」



「あぁ…それだけだ」





泣きわめく事も命乞いもしない…諦めなのか?

でもその顔には焦燥感はなくてスッキリとした表情で俺を見据えている


こいつは仲間の心配をする奴なんだな…


地下街のほとんどの奴は自分の事ばかりで他人の事は気にしない 仲間でさえも見捨てて裏切る…







気付くと俺は男の体から離れて路地裏の奥の細い道を歩く



「おい!俺を殺さないのか?」



「今日はな…だが次はねぇ」


ナイフの血をハンカチで拭いポケットに入れた


















俺を「信じている」と言ってカナコは床に膝をついて俺の左手を両手で包むように握った




「殺してない…」


「えっ?」


カナコの視線が左手から顔へと移り カナコの綺麗な黒い瞳と目が合う



「あいつは殺さなかった…何故だろうな…」


言葉は掠れながら口からこぼれ落ちた 膝を付いているカナコの耳に言葉は届いたようで
俺の左手を優しく包んでいたカナコの手にギュッと力が入る



少し冷たいカナコの手に俺の体温が伝わり次第に温かくなる 境界線が無くなりカナコと一瞬 深く繋がった気がした



「馬鹿が… 痛てぇよ」


「私はこの世界が好き…リヴァイが居るから」


手を離しカナコはキッチンへ行った


俺の左手にカナコの感触が残る



「小さな幸せ」がまた1つ増えていった



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