第2章 新しい生活
これから先は危ないからとリヴァイと手を繋ぎ ランプの灯りだけを頼りに歩いた
「リヴァイは夜空を見に来た事はあるの?」
「1度だけある そんときは月は出てなくて星は見た」
「綺麗だった?」
「あぁ…外の連中が羨ましくなったな だから1度しか見てない」
両親と暮らしていた都会は夜も明るくて星は少なかった
学校で行ったプラネタリウムで初めて夜空にはたくさん星が輝いているのだと知った
それから数年後におばあちゃんの所で本物の星が降るような夜空を見た
天の川はちゃんとあったし流れ星を見つける事も簡単で願い事は足りないくらいだった…
「夜が明るい」「プラネタリウム」「天の川」「流れ星に願い事をする」
聞き慣れない言葉はリヴァイが聞いてきて それを私の出来る範囲で説明をする
リヴァイはちゃんと私の話を聞いてくれて 分からない事は理解しようとしてくれる…それが嬉しい
「星に願い事して叶うなら苦労しねぇな…」
「本気じゃないよ…もしかすると願いを掛けた星が燃え尽きる時にちょとだけ幸運をくれるかもって話だよ ロマンチックじゃ無いなぁ」
「カナコは何をお願いするんだ?」
「うーん… そうだなぁ…」
「ねぇのかよ!」
考える私にリヴァイはツッコミながらクククッと笑う
ランプの灯りでぼんやりと浮かぶリヴァイの顔を見上げた
「リヴァイが毎日家に帰ってきますように…かな」
仕事の内容は知らないけど 危ない事をしているのは知ってる それを辞めて まともな仕事をして欲しいと思うけど
それは私の世界の感覚で壁内の世界では…地下街で子供が生きていくには無理な事だとも分かっている
だから仕事に出掛けるリヴァイの背中を見るたびに毎回思う…
「少しくらい怪我をしてもいいから…ただいまって帰ってきますように…毎日思っているから それをお願いする」
繋いだリヴァイの手が少し緩んでまたギュッと握られた
伝わる体温がだんだんと温もりを増していくから リヴァイが照れてるのが分かる
きっと顔も赤くなっているんだと思うけど 今見たら「見んな!」と言われる事は確実だから
「リヴァイの手…温かいね」
とだけ言って私が力一杯ギュッと握りしめると「痛てえよ!」と言われ2人で笑いながら奥へと歩いた