第2章 新しい生活
クッキーを1枚つまみ小さなテーブルに身を乗り出しリヴァイの口元にクッキーを近づけた
再び眉間にシワを寄せる 今度のは笑顔のシワでは無い
「一緒に食べよ 2人で食べた方が美味しいよ」
面倒くさい女…目が語ってる でも面倒な時の私は頑固だ リヴァイはそれを知ってるから仕方なく口を開けてクッキーを食べた
モグモグと動く口を見て私も1枚口に入れる
紅茶も口に含む 今日の紅茶は香りがよかった
「んーっ 甘さが体に沁みる…紅茶も香りがいいね 幸せだ」
「カナコの幸せは単純だな」
「そうだよ ささいな幸せの積み重ねが大事なんだよ 今日はリヴァイとクッキー食べて美味しい紅茶も飲めたから 明日からの変装生活も頑張れる」
「…そうだな」
「ねぇ…1つお願いがあるの こっちにも月や星があるんでしょ?夜空が見たい」
今日作った立体折り紙の星をリヴァイに見せた
「まずは変装生活を頑張れ 頑張れたら連れて行ってやる」
「頑張る…ふふっ ありがと」
最後の1枚は私が食べた
リヴァイはティーカップを片付けてから 今度の仕事の下調べをすると言って地下街の地図を広げている
リヴァイは空間認識のスキルが高いのか地図を自分で書いている
小さな路地や抜け道まで本当に細かく書き込まれていて 私には細かすぎて分からない
しかもそれを頭の中に記憶してるから こんな所に産まれなかったらスゴい学者とか技術者になってると私は思っている
ただその能力が悪い方にいったのが残念です…
私はリヴァイが回収してくれた仕事をするため布袋の中身を作業机に出す
生地の色別にして それぞれを籠に仕分けてた
いつもの補修の仕事が9割で それに加えて刺繍の仕事が1割くらいある 刺繍の方が今は増えつつあるのだけど
本来は繕い屋なので 手間がかかる刺繍の仕事は余り増やしたくない
リヴァイとも相談して刺繍の仕事は刺繍の範囲やデザインで手間賃と材料費を高めに設定する事とジルの店でしか受付ない事にして依頼が増えない工夫をした
12種類のステッチ 5種類の花 3種類の葉っぱ のサンプルを 糸の3本取りと6本取りで1枚の布に刺繍をしてサンプルを作った
それを見て組み合わせを選んでもらっている