第2章 新しい生活
部屋に置いてる鏡の前に立ちワンピース姿の自分を見る
「今日でバイバイ…女の子の私…」
珍種狩りなんて絶対に嫌だ…何をさせられるかは想像できる そんな事になるくらいならズボン生活どんとこいだ!
リヴァイがキッチンへお湯を沸かしに行った その間に私は脱いだマントを玄関脇にあるポールハンガーに掛け 眼鏡は私の作業机に置く それから散髪で少し散らかった床を掃きテーブルの上もちゃちゃっと片付けると
ちょうどいいタイミングで リヴァイが紅茶の入ったカップとチョコチップクッキーを3枚並べた小さな皿をテーブルに置いた
「クッキーどうしたの?買ったの?」
砂糖が貴重品な壁内だと なかなか甘いお菓子は食べれない しかも チョコチップクッキーだなんて久しぶりだった
「ジルがくれた」
ジルは少しだけどたまにお菓子をくれる
ウキウキとリヴァイの向かいに座りクッキーを眺めながら紅茶を飲む
取手を持ち紅茶を飲んでいたリヴァイが食べねぇのか?と聞いてくる
「食べる…今その心の準備をしてるの」
「くっ…馬鹿だな」
リヴァイがクシャッと眉間にシワを寄せて笑う 私はその顔が好きだ
いつも鋭い目をしている彼が私の前では15歳になる瞬間を見ると少しだけ私がここにいてもいいのだと思う
一緒に笑って紅茶を飲んで気付いた
「リヴァイの分は?」
「俺の分はジルの所で食べた」
嘘だ…リヴァイは嘘をつく時 呼吸が少しだけ浅くなる
ジルからもらったのは本当
でも食べたのは嘘
私と彼は半年間1人用のベッドに2人で毎日寝ている 私が眠たくなるまでいろんな話をする
本や新聞を読んでも分からない壁内の事やリヴァイの仕事の事…
私が居た地球の事…沢山話してきた
2ヶ月くらい過ぎた時に気付いた
怪我をして帰って来た時 怪我の理由をリヴァイは話した その話の時に初めて感じた
ほんのわずかな違和感
その違和感が気になりそれから観察を続けてなんとなく分かった…
私に隠したい事や嘘をつく時には少しだけ呼吸が浅いのだ
隣で寝てる時 背中の膨らみが 顔を見てる時は喉の動きがわずかに違う
この世界に来て半年…私はリヴァイだけしか見ていないから分かったんだと思う