第15章 囚われていた鳥達
臭くて汚れた体だから毛布ごしに抱きしめたがカナコは体をねじり毛布を剥がし俺の体に触れる カナコからもいつもの甘い匂いは消えていて血と汗と消毒液の匂いがしていた
背中を擦ってやると落ちついてきたカナコはもぞもぞと動き肩に顔を乗せた――と思ったら俺の首をペロリと舐めた
「馬鹿が汚ねぇから舐めんな―…」
「ザラザラしてる――味も苦くて塩っぱい――ふふっ…それに臭いなぁ…」
カナコは臭い臭いと言いながら笑い 何度も吸い込む首に当たる鼻息がくすぐったくて2人で笑いあう…いつもの日常に気持ちが解れていくのがわかった
「お互いに臭せぇな―…風呂に入りに行くか?」
「うん―…その後は一緒に居てくれる?今はそばにいたい…」
額を擦り付けながら甘えるカナコの頭からは脂臭い匂いがした
「それとアリソンが明日は休みでいいって言ってたぞ―だから明日は一緒だ」
カナコは涙をポロポロと流しながら くしゃっと笑う その顔がやっぱり好きだな…と思いながらしばらくの間抱きしめた
兵舎のロビーに置かれた支給品のタオルと着替えをもって兵舎の奥に行くとエルヴィンとミケ ハンジがソファーに座り難しい顔をしていた
あの騒ぎの中 キース団長は戻ってこなかった…
次の団長はエルヴィンだろうな―…
カナコに寄り添いながら歩いていると 足音に気付いたハンジがこっちを見た
「カナコ!よかった無事だったんだね」
「ハンジ―…みんなもお帰りなさい」
「ひどい顔だ 眠ってないの?」
ハンジの遠慮のない言葉にカナコは笑い俺の腕に両手を絡めた
「うん――でも大丈夫リヴァイが居るから眠れると思う」
団員の前ではあまり甘えないカナコが今は気心の知れた奴らの前だから俺に甘える様子を見てハンジが優しく笑った
「エルヴィン――…今話し合ってもいい考えは出ない…体も脳ミソもクタクタだ!私達にも休息は必要だよ―…」
「ハンジの言う通りだな―…続きは明日の午後からにしよう」
めずらしくエルヴィンの顔にも疲れが滲み出ていて眉間に手を当てため息を吐いた