第2章 新しい生活
リヴァイは早速そのティーカップに紅茶を入れた
私のカップはいつものだけど 私は紅茶にこだわりがないからそれで良かった
「カナコのも買うか?」
「これだ!と思える物に出会ったら買う 今はこのリヴァイが買ってくれたカップでいいよ これはこれで好き」
「じゃあ 出会った時は言えよ 今度は俺が買ってやる」
それじゃ お礼になんないんだけどなぁ
でも いつもより頭を撫でる手が優しくて くすぐったかった
それからしばらくしてジルの依頼を完成させたブラウスをリヴァイが届けに行った
ピンクと黄色と緑で衿の先端だけじゃなくて縁にも刺繍をした ボタンを留めた時に表にくるボタンホール側の縫目の上からピンクの糸を通して縫目のラインが可愛く見えるように仕上げた
ここまでサービスしたのはリヴァイがティーカップを気に入ってくれたからなんだけど…
「ジルがすげぇ喜んでだぞ」
可笑しそうに言うリヴァイを見てジルがどんだけ喜んでくれたのか想像できた
そう言うリヴァイも私がプレゼントしたティーカップを気に入っていて いつも飲む前に少しだけカップを眺めているくせに…
と 私が思っている事は秘密にしている 絶対にリヴァイに言ったら拗ねるから
「あと…イヤな噂もあった 珍種狩って呼ばれてる」
「ちんしゅ?」
「珍しい人種や特異体質の奴らの事だ
外に出て気付いたと思うがカナコみたいな東洋人は居なかったろ?」
リヴァイが言った通りで 中東からヨーロッパあたり人種の人ばかりで 確かに東洋系とアフリカ系の人種は見なかった
「東洋系はいるらしいが ウォールマリアの端に少数住んでるらしくて シーナの中…地下街では見た事は無い…この間の外出でカナコの事が少し噂になってる」
お父さんが沖縄の人だった
私はお父さん似で濃い顔立ちをしている 転校した最初の頃はよく「ハーフ?」と聞かれていたけど…確かに地下街の人が見ると私は東洋人顔だよね
また外出禁止生活なのかなぁ…俯く私に
リヴァイが繕いの依頼品の入っている布袋から赤毛のウィッグと水色のレンズが付いたゴーグルのような眼鏡と最後にカーキ色の深いフードが付いたマントを取り出した