第2章 新しい生活
190cmくらいありそうな長身のジルじいさんの手は大きくて私の頭をガシッとわしづかみしてクシャクシャと撫でた
田舎の商店みたいで何でも並んでいる店の高くのびてる棚の一段一段見ていた
「この先の紅茶屋に行ってくるから ゆっくり見てろ ジル カナコを頼むな」
長くなると思ったんだな…
リヴァイは店を出て自分の買い物を済ませに行った
下着と靴とサンダルを手にカウンターに行く その手前の足元の棚に可愛らしい小物を見つけた ちょうどいい大きさで一目惚れ見たいな感じで手に取る
「ジルさん…」
「ジルと呼びな」
「今の手持ちはこれだけですが これも買えますか?」
小物には値札が付いてなくて足りるか分からなかった
ジルはカウンターに並べた商品と私が出したお金を見た
顔を上げて私と目を合わせたけど表情からは何もくみとれない
やっぱり足りないのか…
ジルは私のブラウスの衿をチョンと指でつついた
「これもお嬢ちゃんの仕事かい?」
今日のブラウスはリヴァイからのお下がりで 私とリヴァイの服の区別がつくように私は衿の先端に四つ葉のクローバーとタンポポの刺繍をしていた
「ジル 私の事もカナコと呼んで下さい この刺繍は私がしました」
店に並べているアイボリー色のブラウスを持ってきた
「孫娘はピンクが好きなんだが…カナコのそれと同じように可愛らしくしてくれんか? 足りない分はそれでいい…この取引でどうかな?」
「はい!取引成立です!」
ちょうど全部の商品と依頼品のブラウスを紙袋に入れたら リヴァイが戻ってきた
「ジルまたね!」
手を大きく振ると ジルは照れ屋みたいで 笑顔で小さく手を上げて答えてくれた
リヴァイは紅茶の紙袋と裁縫道具の紙袋を持っているのに 私の持つ袋に手を伸ばしてくるから
「これは自分で持つよ もうお金も無くなったし家に帰ろう!」
私の地下街市場デビューが終わった