第2章 新しい生活
「勝手に言い寄ってきただけだろ そのくせに優しくしろだの 冷たいだの言ってまた勝手に怒って消える 女は面倒くせぇ」
「断ればいいのに」
「嫌われた方が二度とこねぇ」
「…モテるのも大変だね」
「あれは俺が好きとかじゃねぇ 地下街で楽に生き抜く為に俺みたいなのが都合がいいだけだ…」
最後はため息とともにつぶやいた
もう眠いのかもしれないリヴァイの体が温かくて気持ちいい
「私は…この世界にきて…初めて逢ったのがリヴァイで良かった…よ…リヴァイの体温…気持ち…い… 」
。。。。。。。。。。
カナコの寝息が聞こえてきた
この壁内で生きるために半年間カナコはよく頑張っている
一緒に暮らしだして半年……呼吸器が弱いカナコの為に朝に必ず換気をして掃除をする生活になり そのせいか始めの頃よりはひどい咳をしなくなった
読み書きは1ヶ月ほどで覚えて それから壁内の歴史が書かれた本や古新聞を渡してこの世界の事を学ばせた
俺の袖が破れた服を補修してくれた時に 裁縫が上手い事を知り繕い物の仕事をさせる事にした
地下街では服が多少破れたくらいじゃ買い換えたりはしない 安く補修してくれるとなればそれなりに需要もあると思って顔見知りに声をかけてみた
俺に何かあってもカナコが生きていけるようにまっとうな仕事を探していた
服の補修はカナコの丁寧な仕事が気に入られて 今じゃ反対に向こうから依頼がくる程になっている
簡単な刺繍なら出来るみたいで 女の子の服の時 補修のあとが目立だつ時は そこに可愛らしい刺繍を入れてなるべく目立たないように工夫をしたのが好評らしい
自分で金を稼げてる事がうれしいようで金は缶の箱に貯めているのは知っていた
買い物か…
この半年間は家の中以外だと 時々 地下街の奥にある鍾乳洞の穴の下くらいしか外出はしていない…
カナコが現れた場所の水溜まりを毎回のぞいては幼い自分の姿しか写らず寂しそうな顔する そして太陽光を浴び宝物だと言った 万華鏡をのぞく
万華鏡やカナコの作る折り紙は 俺が見てもキラキラしていて彼女の世界はきっと美しいのだろう
こんなクソみたいな世界から早く帰してやりたい…
背中に伝わるカナコの温もりを感じながら思った