• 小
  • 中
  • 大
  • テキストサイズ

【HP】怪鳥の子

第59章 棘


「もちろんです」

 ハリーが最初に答えた。

「僕たち、ずっとそうしてます」
「ええ。分かっています」

 マクゴナガル先生の表情がほんの少しだけ和らいだ。

「だからこそ、貴方たちにお願いしているのです」
「でも先生」

 ロンが遠慮がちに口を挟んだ。

「僕たちが何か言って、ミラが聞くと思いますか?」
「ロン!」

 ハーマイオニーが肘で小突いた。

「だって本当だろ! さっきだって――」

 そこまで言って、ロンはマクゴナガル先生の顔を見て口を閉じた。

「構いません、ウィーズリー。私も同じことを考えていましたから」

 ロンは少し驚いた。

「私が何度注意しても、あの子は聞こうとしません。いえ――」

 マクゴナガル先生は一度言葉を切った。

「聞いてはいるのでしょう。ただ、納得していない」

 ハリーには、その違いがなんとなく分かった。
 ミラは先生の言葉を聞いていないわけではない。きっと全部聞いていた。
 それでも、自分の考えを変える理由にはならなかったのだ。

「私は、貴方たちにミス・グローヴァーを見張ってほしいと言っているのではありません」

 マクゴナガル先生は続けた。

「無茶をするたび私に報告しなさい、と言うつもりもありません。貴方たちは友人です。教師の代わりをする必要はありません」

 そこでマクゴナガル先生の目が少しだけ医務室の方向へ向いた。

「ただ……あの子が一人で何もかも抱え込もうとした時には、傍にいてあげてください」

 ハーマイオニーが静かに頷いた。

「先生は、ミラがまた力を使うと思っているんですか?」

 マクゴナガル先生はすぐには答えなかった。

「使うでしょう」

 三人とも黙った。

 あまりにも迷いのない答えだった。

「少なくとも、今のあの子なら」

 マクゴナガル先生の声には、わずかな疲れが混じっていた。

「今日私が話したことで、すぐ考えを改めるとは思っていません。あの子は、自分が危険になることより、何もできないことのほうを恐れているように見えます」

 ハリーは顔を上げた。その言葉だけが、妙に胸に残った。
/ 843ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp