第59章 棘
「でも、それは----」
口を開いてから、ミラは言葉を止めた。
使わなければならない時は使う----そう言おうと思ったけれど、顔を青ざめさせているハリーを見て言葉を変えた。
「使い方を間違えた場合、ですよね?」
マクゴナガル先生の眉が僅かに動いた。
「そう言う問題ではありません」
「でも、ちゃんと制御できるようになれば問題ないはずです」
「その制御を、今の貴方の体では十分に行えていないと言っているのです」
「じゃあ、できるようになれば----」
「ミラ」
ハリーだった。ミラはマクゴナガル先生からハリーへ視線を変えると、ハリーは深刻な顔でミラを見ていた。
「君、分かってる? 命を縮めるって言われたんだよ」
「分かってるさ」
「だったら----」
「分かってるって」
思ったより強い声が出てしまった。ミラはすぐに後悔したが、ハリーは口をつぐんでしまった。怒りたかったわけじゃなかった。ハリーは何も悪くない。
「…ごめん、そう意味じゃなくて」
ミラは額に手を当てた。どう説明すれば分かってもらえるのか、ミラは痛む頭で考えた。
怖くないわけではない。それよりも、この力を使えなくなることの方が、ミラにはずっと困ると思った。
「先生」
ミラはマクゴナガル先生へ向き直った。
「私は別に無茶苦茶に魔法を使いたいわけじゃありません」
「それは承知しています」
「それなら----」
この力をもっと使えるようになりたい。
もっと強くならなければならない。
次に何かあった時、何もできないのは嫌だった。
そこまで考えて、ミラはハリーを見た。秘密の部屋でトムにやられた自分を助けてくれたハリーの上衣は、血に染まっていた。不死鳥が治してくれたと、あとから教えてもらったが、自分は大事な場面で何も役に立たなかった。
----ハリーを守れるなら、自分がどうなってもいい。
そんなことを口にすれば、ハリーがどんな顔をするかくらいわかる。