第59章 棘
ミラはハリー、ロン、ハーマイオニーを見ると、恐々とミラの上で浮いているガラスを見ているようだった。マクゴナガル先生も驚いたように自分を見ており、マグルの学校に通っていた時のことを思い出した。
自分を得体の知れないものを見るような、恐れている無数の目。
ミラはマクゴナガル先生を睨みつけた。冷たい氷を思わせるような、冷ややかな目をしていた。
ハーマイオニーは手で口元を押さえた。ハリーとロンでさえ何を話せばいいのかわからなくなっていた。
「----親でなくとも、」
マクゴナガル先生は堂々と立ち、怯むことなくミラを見つめ返した。
「心配しているのです。貴方がどんなに辛くてもそれを口にしない、私は----私は貴方がいつか取り返しのつかないことになりそうで…怖いのです」
マクゴナガル先生の目に涙で潤むのが見えると、ミラは酷い罪悪感を感じた。頭上で浮いていたガラスもグラグラと揺れだした。
「私は貴方を立派な魔女にし、このホグワーツを無事に卒業させるのが私の勤めだと思っています。貴方に何を言われようと、思われようと、私は貴方を絶対に見捨てるようなことはしないと、ここで言っておきましょう」
「----なんで」
ミラは理解できず、困惑した顔でマクゴナガル先生を見た。
「なんでそこまで私にするんですか?」
「貴方が、優しい子だと知っているからです。力を悪用せず友達のために使い、痛みを知っているからこそ、誰かが傷付くがわかってしまう。だからこそ----私は貴方自身を大切にしてほしいのです」
その言葉を聞いて、ミラは意味がわからないというように眉を寄せた。
それがどういう意味なのか、すぐには理解できなかった。
「貴方は、自分が傷つくことをあまりにも簡単に考えすぎています」
「そんなこと----」
「ブラッジャーからポッターを守った時も、ミスター・マルフォイをヒッポグリフから守ろうとした時も…ミス・ウィーズリーのことも、忘れたとは言わせません」
マクゴナガル先生は去年のことを思い出したのか、自身を落ち着かせるように一度息を大きく吸って吐いた。
「貴方はいつも自分がどうなるかより先に、誰かを助けようとする----それが悪いと言っているのではありません」