第59章 棘
「彼女は人より魔力が多いのです。見たことがあるはずです、ミス・グローヴァーが呪文なしで人や物を留めることを----杖なしでそれができるものはそう多くありません」
「それって…悪いことなんですか?」
ハリーは慎重に言葉を選んだ。
「魔力が多いこと自体が問題ではないのです。これまでもたくさんの生徒を見てきましたが、ミス・グローヴァーは群を抜いて多いのです」
「じゃあ、いろんな魔法が使いたい放題ってこと?」
「ですか?」と、ロンは言葉を付け足した。
「力量にもよりますが、普通の魔法も何倍もの力を引き出せるでしょう」
「先生、それと今日の起こったことと、どういう関係が…」
ハーマイオニーがチラッとミラに心配の眼差しを向けた。
「魔力があまりにも多く身体がついていけないのです。今日起こったことは、内側に籠った魔力が発散できず、貴方を傷つけて起こったことです。窓にヒビが入ったのは、漏れ出た魔力だとダンブルドア校長は推測しています」
「どうにかならないんですか? だってミラはこれまで僕をブラッジャーから守ってくれたり、ヒッポグリフだって止めてくれました…」
ハリーは救いを求めるようにマクゴナガル先生を見つめた。
「残念ですが、ポッター…今のところミス・グローヴァーには無茶をしないようにすることが最善だと考えて----」
「私は病気じゃない!病人扱いするな!!!」
それまでずっと黙っていたミラが大声で叫んだ。ミシミシと窓ガラスが嫌な音をたて始め、ハリー、ロン、ハーマイオニーは恐々とミラを見た。
しかし、マクゴナガル先生だけは冷静に努めようと、前へ一歩進み出た。
「落ち着きなさい、私は貴方に命に関わってくることだと前にも言いました。適切な使い方をしなければ、いずれ周りを傷付けることも----」
「だからって先生になんの関係があるんですか!親でもないくせに!!」
ミラの背後にある医務室の窓ガラスが一斉に割れた。砕けた窓ガラスが下へ降り注ぎ、マクゴナガル先生は慌てて杖を抜いたが、ミラは片手を上げると、ガラスはその場でピタリと空中に止まった。