第59章 棘
「私、すごく怖かったわ。あなたに何が起こったの?」
「----私も、何が起こったかよく覚えてなくて…耳鳴りが聞こえた気がしたんだけど----」
ミラが話していると、医務室の扉が開いた。厳格な顔をしたマクゴナガル先生が入ってくると、ミラは気分が落ち込むのがわかった。
ミラ達の前まで来ると、ハリーはマクゴナガル先生の前に立ち塞がった。
「ミラは悪くないんです、先生!スネイプ先生が闇の魔術に対する防衛術でハーマイオニーを悪く言ったんです!」
「ミラは僕たちの代わりに怒ってくれたんです!」
「お願いします、マクゴナガル先生。ミラを叱らないでください」
ロンとハーマイオニーもハリーに続き、三人はマクゴナガル先生を説得しようとした。
「三人共、静かに。ここは医務室ですよ。それに、私はミス・グローヴァーを叱りに来たわけじゃありません」
そうマクゴナガル先生が言うと、三人はホッと息を吐いた。
「しかし、今回起こったことは、スネイプ先生から伺っております----もう、隠すことは難しいでしょう」
マクゴナガル先生の厳格な顔に、眉が少し寄った。
「この際ですから、三人には伝えておこうと思います」
ミラは顔を顰めた。
「三人には関係ありません、先生」
「私は再三貴方に注意をして来ましたが、貴方は自分の力を過信しているように見えます」
「過信なんて…これは私の問題で----」
「今回起こったことをどう三人に説明するのですか? 貴方自身、自分の力をよくわかっていないでしょうに」
「…だからって、ハリー達に言うなんて…」
ミラの声は明らかに落ち込んでいるのがわかるくらい、小さく掠れていた。ハリー、ロン、ハーマイオニーも心配そうに二人を見ていた。
「先生、ミラは…大丈夫なんですか?」
ハリーは緊張しながらマクゴナガル先生に尋ねた。
「もちろん、大丈夫です。スネイプ先生が急いで医務室に連れて来てくれたので、処置も早くできました。今回起こったことは----ミス・グローヴァーの魔力が引き起こしたものです」
「魔力?」
ロンは顔を顰めて不思議そうに首を傾げた。