第59章 棘
スネイプ先生は、低く落ち着いた声でミラに話しかけたが、ミラはそれを無視して話し続けた。
「ロンはただ当たり前のこと言っただけで、本当に処罰は必要なんですか? それに、どうしていつもハリーに意地悪なんですか? どうしていつもハーマイオニーを無視するんですか? ハーマイオニーがマグル出身だから嫌って----」
「黙れ!」
スネイプ先生が叫ぶとミラはハッと息を吸うと、グラグラと視界が揺れ始めた。ズキズキと頭が痛みだし、頭を支えることが急にできなくなる感覚がすると、ミラは慌てて机に手をついた。パタパタ、と机の上に赤い液体が落ちた。
「…あ”?」
「ミラ、血が…!」
ハーマイオニーがそう言ったのが早かったのか、ミラの体から急に力がなくなったようにその場に倒れ込んだ。
「ミラ!!」
ハリーとロンが慌ててミラに駆け寄った。教室は悲鳴や戸惑いの声でざわめいていた。
「ミラ、どうしたの?ねぇ、起きて----」
「退くんだ、ポッター!」
ハリーは今まで見たことない、焦っているようなスネイプ先生を見て驚いた。スネイプ先生はミラを慌てて持ち抱えて立ち上がった。ミラの顔は今や青白く、身動きひとつしなかった。
「私が戻ってくるまでに、三九四ページからワーウルフについて読んでおくように。ミス・グローヴァーは私が医務室へ運ぶ」
「でも先生----」
「お前はここで残って予習をするんだ。付き添っても何も変わらん」
スネイプ先生はピシャリとハリーに言うと、ミラを連れて急いで教室から出て行ってしまった。