第59章 棘
「ワーウルフ(狼人間)と、真の狼とをどうやって見分けるか、わかる者は居るかね?」
と、スネイプ先生がみんなに問いかけると、ハーマイオニー以外は誰も身動きもせず、座り込んだままだった。
「誰か居るかね?」
スネイプ先生はハーマイオニーを無視して、誰も何も言わないことに、口元が歪んだ笑いを浮かべた。
「これはこれは----ルーピン先生は、諸君に基本的な両者の区別さえまだ教えていないということを、君たちは言っているのかね----」
「お話ししたはずです。私たち、まだワーウルフまで行ってません。予習だって----」
「黙れ!」
パーバティの突然の発言に、スネイプ先生は怒鳴った。理不尽だ、とミラはパーバティのことは好きではないが、そう思わざるを得なかった。
「さて、さて、さて、三年生にもなって。ワーウルフに出会っても見分けもつかないサイトにお目にかかろうとは、考えてもみなかった。諸君がどんなに遅れているか、ダンブルドア校長にしっかりお伝えしておくことにしよう----」
「先生」
ハーマイオニーはまだしっかりと手を挙げたままだった。
「ワーウルフと本当の狼は、いくつか細かいところで違っています。ワーウルフの鼻面は----」
「君が軽率な口を聞いたのじゃ、これで二度目だ。ミス・グレンジャー」
スネイプ先生は冷ややかな声で言った。
「鼻持ちならない知ったかぶりのために、グリフィンドールからさらに五点減点する」
ハーマイオニーは真っ赤になって手を下ろし、目に涙をいっぱい浮かべてじっと俯くのをミラは見ると、勢いよく席から立ち上がった。鋭い目でスネイプ先生を睨みつけた。
「何かね、ミス・グローヴァー。まだ授業中だ。座りたまえ」
「…」
今にもスネイプ先生に呪いをかけてやりたいと、口端がピクピクと痙攣した。しかしこれ以上スネイプ先生に口を挟めば、マクゴナガル先生に迷惑をかけてしまうことが、ミラをなんとか引き止めていた。