第59章 棘
「…ほう」
低く、静かな声だった。
「では、ミス・グローヴァー。私の普段の行いとは何かね?」
スネイプ先生の冷たい黒い瞳が、試すようにミラを見据えた。
何をどう答えようと、スネイプ先生は減点するだろうとハリーは思った。しかし、ミラがここで一歩も引かないこともハリーは十分に理解していた。
「ここにいるみんなに聞けば、大体わかると思いますが」
「グリフィンドールから五点減点」
間髪入れずに、スネイプ先生は冷たい声で言った。
「前にも言ったが、君のその無礼な態度は未だに治っていないようだ」
「事実を言っただけです。それとも、みんなに聞くのは怖いですか?」
「さらに五点減点。黙って席につくんだ」
「減点で黙らせようと脅してるんですか?」
「二十点減点だ、グローヴァー。もし、もう一度でも我輩に無礼な発言をすれば、マクゴナガル先生に報告しよう。君から授業妨害を受けたと…どう思われるかな?」
ミラはキッとスネイプ先生を睨み付けた。教室のあちらこちらから、小さく息を呑む音が漏れた。
「ミラ、もう十分だよ」
ハリーは慌ててミラに駆け寄り、肩に手を置いて声をかけた。
それでもミラはスネイプ先生から目を逸らさなかった。スネイプ先生もまた、冷え切った黒い瞳でミラを見据えていた。
ミラは納得がいかない気持ちを抑えながら、席に着いた。
「……結構。ポッター、お前も座れ」
ハリーは近くの空いている席に腰を下ろした。ハリーはミラを見ると、尚もスネイプ先生を鋭く睨み付けていて、呪ってやると言わんばかりの気迫を感じた。