第59章 棘
ロンとハーマイオニーがこれ以上何も言うな、と言いたげに慌てて首を振った。他のみんなは興味深々にミラとスネイプ先生を交互に見ていた。
「…私の煎じた薬に何か問題があると言いたげだが?」
「そう聞こえましたか?」
スネイプ先生はミラを静かに睨んだが、ミラは臆することなく、ジッとスネイプ先生の暗い瞳を見つめた。重い空気が教室を包み、ミラとスネイプ先生以外のみんなは、息苦しさに身を固くした。
「遅れてすみません、ルーピン先生。僕----」
そこへ、授業に遅れて来たハリーが来たことで、スネイプ先生の視線はミラからハリーへ移った。
「授業は十分前に始まったぞ、ポッター。グリフィンドールは十点減点とする。座りたまえ」
「ルーピン先生は?」
「ちょうど今、ミス・グローヴァーが、我輩の薬には何か細工でもしてあるのではないかと疑っているところだ、ポッター。」
「え?」
スネイプ先生は忌々しそうにハリーに向かって言った。まるでハリーが言いふらしたような言い方に、ハリーはミラを見た。ミラは席から立ち上がった。
「誰もそんなこと言っていません」
ミラはキッパリと言った。
「先生がはっきりと薬の名前を教えてくれなかったので、聞いただけです」
スネイプ先生は細い目を更に細めた。
「----ならば、私の薬を疑うような質問はなんだったのかね」
「別に疑ってません。先生の普段の行いでは?」
ミラは肩をすくめて見せた。
教室中がしんと静まり返った。ロンは思わず額を抑え、ハーマイオニーは「もうやめて…」と言いたげに顔を覆っていた。
ハリーも声が出せずに、立ったまま二人を見ていることしかできなかった。