第59章 棘
毎年のことながら、オリバー・ウッドのクィディッチの情熱は異常だ。しかし、今年はハッフルパフのチームが変わり、彼は授業の合間に急いでやってきては、ハリーに指示を与えに来るのだ。
この日三度目ともなると、ハリーはミラ、ロン、ハーマイオニーに先に行ってと言うしかなかった。
午後からは『闇の魔術に対する防衛術』で、ミラたちが教室へ入り席についてルーピン先生を待っていると、スネイプ先生が教室に入ってきた。生徒達がざわつく中、スネイプ先生は全く気にした様子もなく、壇上にたどり着くと、「静かに」と言った。
「今日はルーピン先生は気分が悪く、教えられないとのことだ。代わりに私がすることとなった」
教室はまるで葬式のように静まり返った。教室いる誰もが口を固く閉じてスネイプ先生を見ていた。ネビルに至っては、真っ青な顔をして震えていた。反対に、スネイプ先生の口元は、歪んだ笑みを浮かべていた。
ミラはロンとハーマイオニーに目配せをすると、三人は入り口の扉を見たが、ハリーがまだ来る気配はなかった。間違いなく、スネイプ先生は遅れてきたハリーを、喜んで減点するだろうとミラは思った。
ミラは手を挙げると、みんながミラを見た。
「何かね、ミス・グローヴァー」
スネイプ先生は仕方なくミラをあてたような低い声だった。
「ルーピン先生は、どこか悪いところでもあるんですか?」
「そのようなものだ」
と、そう言ったスネイプ先生の答えは曖昧に聞こえた。
「スネイプ先生がルーピン先生に薬を作っていると聞いたのですが、どのような薬なんですか?」
「お前が知る必要はない。聞いても分かりもしないだろうが、知りたければ、ルーピン先生に聞いてみてはどうかね?」
「…いえ、結構です。もしかすると、お腹を壊して休んでいるかもしれません」