第58章 切り裂かれた『太った婦人』
マクゴナガル先生の自室から出ると、ミラは談話室に向かって静かな廊下を歩き出した。ふと窓の外へ目を向けると、遠くにクィディッチ競技場が見える。
(ハリーは今頃クィディッチの練習か----)
マクゴナガル先生は、ハリーがクィディッチをすることに最後まで否定的だった。それでもハリーは粘り強くマクゴナガル先生を説得し、今でもクィディッチを続けることができた。もっとも、その条件として、マダム・フーチが練習中にハリーを見守るのが絶対だった。
(どうして私とハリーは息苦しい思いをしなくちゃいけないんだ…ただ普通に、自由に学生生活を送りたいだけなのに)
はぁ、と大きなため息を吐いていると、後ろでヒソヒソ話す声が耳を掠めた。
「----見つけられると思う?」
「見つけられっこないわ、トロフィールームの----」
レイブンクロー生の女子四人が、クスクス笑いながら仲睦まじそうに歩いて行ってしまった。
第一回のクィディッチの試合が近付くにつれて、グリフィンドールのクィディッチチームの練習は前よりも増え、気合の入りようは、誰の目にも明らかだった。しかし、天候は日に日に悪くなり、土曜日の試合は、かなりの悪天候になると予想されていた。
そこへ、対戦相手がスリザリンからハッフルパフに変わったことがわかった。
これにはクィディッチチームのキャプテン、オリバーも頭を悩ませた。
スリザリンは、シーカーであるドラコの腕がまだ治っていないという理由で、試合をキャンセルしたのだ。さらに、スリザリンのキャプテンのフリントは、悪天候の中では勝ち目が少ないと考えていた。
この話を談話室でハリーから聞いたロンが、
「あいつの腕はどこも悪くないって、オリバーに言ったのかい?」
「ああ、もちろん言ったさ。でもオリバーが証明できないって」
ハリーも苛立ちを隠せない様子だった。
「相変わらずスリザリンらしいやり方だ。勝つためなら手段を選ばない」
ミラはハリーの肩に手を置いて、落ち着かせようとした。