第58章 切り裂かれた『太った婦人』
フレッドとジョージはソファーの後ろからミラを覗き込みながら言った。ハーマイオニーが厳しい目でミラを見たが、ミラは知らんぷりした。
「それってできた?」
ミラは期待を込めた目で二人を見上げた。
「いーや、まだまだ。ボールがすぐ爆発したり、しなかったり」
フレッドは長くて大きなため息をついた。
「でも俺たちが卒業する前には完成させる」
ジョージはウィンクして見せた。
「それまでスネイプがホグワーツに残ってるかな」
「いるよ、あいつを雇いたいってところが他にあるかい?」
「ロン、流石にそれは…いや、そうかも」
「ミラ、ロン、流石に失礼じゃない?」
「じゃああいつにハニーデュークスの店員をやれって?」
ハーマイオニー以外のみんなが大笑いした。ハーマイオニーは笑いそうになるのを堪えようと、口の筋肉が痙攣していたのをミラはこっそり見た。
「絶対毒入りヌガーとか入れられるぜ、特にハリー」
「そんなハニーデュークスには行きたいくない」
ジョージがそう言うと、ハリーは嫌そうな顔をした。
「安心しろ、ハリー。そんな奴はいないぜ----今はな」
フレッドがわざと低い声で言うと、談話室にまた笑いが広がった。
「縁起でもないこと言うなよ」
ロンが呆れたように肩をすくめる。
「大丈夫だよ。もし本当にそんな店員がいたら、私が先に味見してあげる」
「それ、全然安心できないんだけど」
ハリーが苦笑すると、ミラもつられて笑った。
暖炉の火がぱちりと音を立て、赤い光が談話室を柔らかく照らしていた。
シリウス・ブラックが城へ侵入したという話題が、学校中を重苦しく覆っているというのに、この部屋だけはいつも通り笑い声が絶えない。
こんな時間が、ずっと続けばいい。
ミラはそう願わずにはいられなかった。