第58章 切り裂かれた『太った婦人』
少し離れた場所では、ハリーとロンがその様子を見ていた。
「ミラって、ネビルと仲良いよね」
「意外だよなー」
ロンは腕を組んで、首を傾げた。
「あんなトロい奴、ミラは見限りそうな感じなのに」
「そんな言い方よくないわ、ロン」
「あいつは君にもよく頼りっきりじゃないか」
「それ、あなたが言うの?」
信じられないと言った顔でハーマイオニーはロンを見た。
「少なくとも、ネビルは裏表のない性格をしてるわ。ミラは勉強が出来ないとか、運動が出来ないとかじゃなくて、内面を見ているのよ」
「でも、なんだかんだ言ってミラは優しいって、ロンも知ってるじゃないか」
「そうだけど----」
ロンはまだ少し納得できないというように、難しい顔をしていた。
切り刻まれた『太った婦人の肖像画』は、あの夜の内に壁から取り下げられ、代わりにずんぐりした灰色のポニーに跨った『ガドガン卿』の肖像画が取り付けられた。
これには、グリフィンドール生全員が盛大に頭を悩ませることとなった。
ガドガン卿は誰彼構わずに決闘を挑みたがり、そのうえ、とてつもなく複雑な合言葉を考え出す。最悪なことに、その合言葉を一日二回も変えることがあった。
流石のグリフィンドール生たちも不満が溜まり、パーシーに訴える生徒が続出した。しかし、パーシーは「ガドガン卿以外、誰もこの仕事を引き受けてくれなかった」と説明するしかなかった。
「パーシー、私たちがいるからハリーの付き添いはいいよ」
「そうはいかない。ハリーに何かあれば大変だ。それに、君達だけでは心配だ。君もだ、ミラ。また医務室に運ばれるようなことがあったらいけない」
「…」
今やハリーは多くの目に監視されていた。